黒部源流尾根周遊

〜 雲上の花園から温泉そして展望のピークへ 〜


        祖父岳から



【月日】 H19年8月4〜8日
【山域】 北アルプス黒部源流周辺 【天候】 ほとんど晴れ
【アプローチ】
自宅13:15 =竜王IC〜富山IC16:32=折立18:18 (331km)
【コース】
   @ 折立4:50−三角点6:33/52−五光ベンチ8:05−太郎小屋8:50/9:20−薬師沢小屋下11:36/12:15−
     アラスカ庭園14:25/40−雲の平山荘15:45
   A 山荘5:15−祖父岳7:10/8:00−山荘10:00/10:40−(ランチ20分)−高天原峠12:45−高天原山荘13:54 温泉往復
   B 山荘5:22−水晶池6:20/38−岩苔乗越9:10/30−ワリモ岳−鷲羽岳10:46/12:25−三俣山荘12:58/13:18−
     三俣蓮華14:14/23− 黒部五郎小舎16:00
   C 小舎5:20−カール水場−黒部五郎岳8:25/45−2578P10:00/30− 赤木岳11:38−北ノ俣岳12:12/22−
     太郎平小屋13:42/15:15− 五光ベンチ16:00/10−三角点17:10/30−折立18:33  

 天候不順等により何度も日程変更を余儀なくされ、一時は1〜2泊の別ルートも考えたが、どうしても今夏に歩きたかった。
台風一過でも快晴とはならず、曇・雨天予報だったが、期待と長期歩行の不安を抱えたまま走り出した。
この山行の足慣らしのはずだった左門源流周遊で右足首を痛めていた。
左足膝、同太股、右足首まで不調で腕力頼りのストック歩行も右肘を痛めており、途中撤退のネタには事欠かない。  

 折立に着いたら「いい時に来ましたね さっきまで大雨だったんですよ」と隣の車の人が教えてくれた。
どうりで道が濡れているはずだ。
駐車場はほぼ満杯。芝生のテン場は3、4張のテントだけで空いている。
が、雨で芝生は濡れている。
こんなこともあろうかとブルーシートを持ってきたのだ。 前泊もやはり車内よりテントのほうがよく眠れる。
シートの上にテントを広げて、さぁポール・・・何とツェルトのポールだった。
大昔、茨川でポールを忘れて家族5人で車中泊したのを思い出した。
車中泊もいいもんだ。  

 コースタイムより早く歩けるはずがない私の場合、1日目の行程は早出をしても厳しい。
遭難碑の先輩に祈りを捧げ、ゆっくりゆっくり登りだした。 何組かの人が抜いていったが、あせらない。
1時間程歩き、二度目のストレッチをして少しペースを上げる。 前日は雨予報だったが、陽が射してきた。
三角点で食糧補給、展望が開けるとニッコウキスゲやイワイチョウが楽しませてくれた。  
小屋手前で異様な人が走り去っていった。
太郎平小屋に着くとたくさんの人がくつろいでいる。
その広場を先の黄色いランニングパンツに赤いシャツのおじさんがグルグルと走り回っているではないか!!
足元はジョギングシューズだ。 たまらず誰かが声をかけた。
返答は 「折立から1時間10分で来た」驚愕する観衆に対し、彼は「鍛えれば誰でもできますよ」だと・・
でけるかっちゅーね と 何人かの観衆が、同時につぶやいた。
56才、クロスカントリーランニングの一幕だった。  

     太郎への登山道から 有峰湖     登山道脇で


 さて、こちらは重い荷物(私にとっては)を担いでヨタヨタと歩き始めよう。 まだまだ先は長いのだ。
前に歩いた時は、太郎小屋で生ビールを飲み過ぎて山頂付近で2時間あまりのたうち回っていた。
やっと、陽が傾くのを気にしながらボチボチ下って、薬師沢小屋前では、息子と連れ、それに小屋の人が心配そうに待っていてくれたものだ。
今回は、小屋前のテラスでたくさんの若者がくつろいでいた。

         黒部の流れ


 流れのぞばで3回目の食糧補給をして急な斜面に取り付いた。
ストックをフルに使った四つ足歩行で着実に高度を上げる。
登る人も下る人も「この急登はたいへんだ」とかなりバテている様子だ。
急なゴーロを登っているみたいで汗は滴り落ちるが、息は上がらない。
先の若者は立命館の学生だそうで、京都、滋賀からも来ている。 聞くとA班からG班まであるそうでかなりの大人数だ。
  「よう そないにワンゲルにひとがあつまったなぁ」と言うと 「今年は大盛況でした」 とのこと
  「そうか 登山ブームは中高年だけとちゃうねんなぁ」  
そのうち、休憩する彼らをも抜いて木道に乗っかった。 もっとも彼らは全員バカでかいザックを背負っていたのだが・・

           薬師沢小屋からの登り           雲ノ平
        夕照の水晶                   小屋前から


 アラスカ庭園で小休止して祖母岳分岐を過ぎると素晴らしい花園が待っていた。
たおやかな地形にはい松と岩とせせらぎ、そして咲き乱れる幾種類もの花、背景は凛々しい水晶岳、雪渓を纏ったまぁるい祖父岳、
こんな光景を下手な文で表現することはできはしない。
咲いている花は、チングルマ、こいわかがみ、はくさんいちげ、こばいけいそう、よつばしおがま・・・  

 何とか午後4時前には山荘に辿り着いた。
山荘前のベンチからも、黒部五郎、三俣蓮華、祖父、ワリモ、水晶それに笠岳もが見渡せた。
花が多いと人も多い、のは覚悟していたが、何とか一人1枚の布団が確保された。
トイレの戸の“ギィーバッタン、ギィーバッタン”には閉口したが、夕食一品のみの石狩鍋はおいしかった。

 朝食に並ぶ人達を尻目に軽荷で小屋を出た。快晴だ。
こばいけいそうの大群落を通り抜け、一旦テン場に降りて水を確保した。
回り込んではい松の中や雪渓を歩き、ガレた急登を少しで絶景の広場に出た。  
祖父岳頂上である。
文句なしの360度の絶景だ。
振り返ると大きな薬師、太郎、北の股、黒部五郎、三俣蓮華、間が開いて、逆光でシルエットの鷲羽、ワリモ、更に水晶・・・・
南端に陣取り、三俣蓮華と鷲羽の開けたところに峻立する感動的な槍穂高と差し向かいで、この上ない朝食とコーヒーをゆっくり味わった。
何人かの人達がやってくるが、縦走の途中なのだろう、そそくさと写真を撮って去って行った。

        祖父岳          朝日の水晶
     薬師        五郎


 一旦小屋に戻って荷物を背負って高天原へと歩を進めた。
開けた平原を登って下ったまではよかったが、その先の樹林の急降下は予想外で休養日のはずがそれなりに消耗した。
流れを2度渡って樹林帯を出るとワタスゲやニッコウキスゲの咲く湿地帯に出た。
その先の高天原山荘も見えていた。

 ビールとアテをぶら下げて温泉へと向かう。
手前の流れにビールを浸けて濃厚硫黄の温泉で疲れを癒した。爽快なり。
小屋までは、登り20分、温泉下の清流脇に陣取ってビールを飲みながら体を冷やす。
次々にやってくる人達に、まるで銭湯の番台に座ったように混浴、女湯、露天湯を案内した。




 二日間で十分満足したが、そう簡単にここからは帰れない。
予定通り、グルッと回ろう。 昨日と同様、自前の朝飯を持って、まずは岩苔小谷に沿った登山道を歩き出した。
なかなか樹林帯を抜けられず、適当に食糧補給し、水晶池に寄り道してトラバースから平坦地に出るとお花畑が続いた。
もっと早く出発してここまで我慢してゆっくり花に囲まれて朝メシを食うべきだった。  
大きな雪渓を目指して登り着いた岩苔乗越から黒部源流への巻道へは入らず、稜線へと登りだした。

        水晶池         岩苔の登山道
     源流と五郎       鷲羽の頂上で
         清楚


 ちょっと雲は出ているが上々の天気、どんどん展望が広がる。 ワリモ岳を通過して、鷲羽へ登り着いた。
昨日の祖父岳が眼下、言葉はいらない大パノラマが広がった。
鷲羽池と雲に隠れたり出たりする槍を見ながら、とっておきのカレーライスを食した。
いい匂いにつられてかオコジョが顔を出してくれた。

 三俣山荘まで下ったら、昨日、温泉で写真を撮りっこした人と再会した。 温泉沢を登って、水晶岳を越えてきた、明日は笠に行く とのこと。
温泉沢から水晶は私も考えたが、黒部五郎小屋までだと時間的にも体力的にも厳しいとあきらめたのだった。  
ここからも巻道はとらずに三俣蓮華の頂上を目指した。
一旦尾根を越えて双六への道を分けてからがなかなかの急登で頑張って登ったが、頂上はガスの中だった。
黒部五郎小舎への最後の下りも三日目の疲れた足には少々堪えた。

 小舎前で飲んだ本物のジョッキに入った生ビールうまさは格別だ。
隣合わせた妙齢の3人組は、三重県からの方で鈴鹿の話に花が咲く。
しかも、ものすごく詳しいのもそのはず、K市のT氏は鈴鹿の山の本を書かれたこともあるとのこと。

 最終日の朝食は小舎前でとって、リンゴとプラムを持って歩き始めた。
こばいけいそうの大群落から大岩帯の雷岩を横目に見る頃から、ガスが晴れだした。
カール奥の水場で小休止、ほんとに美味しいと思えた水を飲んでコロシアムの壁に取り付いた。  

     カール
      五郎の頂上から        三山居並ぶ


 黒部五郎の頂上は息をのむ大パノラマだった。
特に、笠、乗鞍、御岳が遠ざかりながら特徴的な山姿で雲上に並んでいる景色は圧巻だった。
さて、後は長い長い稜線を辿って現実に戻らなければならない。
途中、カールの水でT氏に頂いたグリーンティを溶かして飲んだ。
日本人にはお茶の味、山では適度な甘さ、両者のハーモニィーが絶妙だ。 美味しい水のあるところでの新アイテムになりそうだ。
お茶を飲みながら見渡す先には太郎小屋も見えており、2時間もあれば十分に思えた。
が、何の、北ノ股岳まで何度もここかここかと思いながらも頂上に逃げられるように長く、その先はと言えば、見えていた小屋は蜃気楼
やったんかいな と思えるほど長く感じた。
最後は小屋がビールに見えた。

 五郎小舎より100円高い、しかもポリカップの生ビールを飲みながら薬師を眺めてゆっくりした。
ずーと持ち歩いていたラーメンがカールの水がよかったのかとても旨かった。
折立までの長い下りも不調箇所の痛みが出ることもなく、歩き通せた。
遭難碑に、無事帰れたことを報告し、帰れなかった先輩方に手を合わせた。

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